塾生2024年入試合格実績はこちら

花みち元気塾通信 2019年9月号「未来に向かって生きること」

 東日本大震災による津波被害で、大川小に通っていたお子さんを亡くされたお父様のお話を聞く機会がありました。
しばらく思い出すたび涙が出てきました。

 私の心を揺さぶったのは、そのお父様が恨み、悔しさ、悲しさ、怒りそういった感情を越え、前向きに話す姿です。
子どもを亡くしてどれだけの思いがあるか、親であるなら言葉には表せないくらいの張り裂けそうな気持ちに違いないのです。

 なぜ山に向かって逃げなかったのか、もう少し早く何とか出来なかったのか、などいろいろな検証が進みわかって来たことがあります。しかし起きたことは取り戻せないという思いが私の胸にはずっとあり、そのためテレビでそのニュースが流れるとあえて見ないようにしていたと気がつきました。

「未来が過去を意味付ける」
その方のその言葉を聞いた時、すっと伸びる光の筋のようなものを感じました。
悲しみは乗り越えるのではい、悲しみと共に生きる、そしてそれを胸に未来に生きていくこと、それが命ある者の使命だと。

 私ははじめ自分の何もできない無力さ、この方に比べたら小さなことで悩む自分の狭さなどを感じ、自分自身が身動き出来ない感覚になりました。
しかし、その方が、苦しみを抱えている人が何でも話せる場所は大切と付け加えられたことで、
私には何でも話せる場所を作り、話せる雰囲気を作ること、それならばかろうじてできるかもしれないと感じました。

 生きていくことはどういうことか、改めて考え続けています。

 東日本大震災では私たちの住む町も被害を受けました。自分はたいしたことない、とあまり話さなかったのは、早く忘れたいとの思いがあったのかもしれません。
でも忘れなくて良い、忘れてはいけないのです。

 震災は8年半が過ぎましたが、まだ終わっていなかった。
そして、今月は台風被害で千葉では停電が続いています。

 生きていくことは、いつも何かの危険と隣り合わせです。
それでも命がある限り、私たちは未来に向かってできることを一歩一歩進めていくこと。
そして、それを子ども達にも伝えていくこと。

 何をどう書いても私の考えは浅い言葉でしか表せないのですが、
災害で命を落とした人々の生きた証を未来につなげる、その意味を考えながら生きていきたいと思います。

藤井 道子