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花みち元気塾通信 2019年8月号「答えの無い世界」

「非認知能力」を身につけることが大切と最近よく言われています。「非認知能力」とはどういった力なのか調べてみたところ、数がわかる、文字が書けるなどIQで測れる力を「認知的能力」というのに対して、IQで測れない内面の力を「非認知能力」と呼ぶそうです。

 例えるなら目標に向かって頑張る力、他人とうまく関わる力、感情をコントロールする力など、社会にでてからも必要になる力のようです。では今なぜこの力が重要と言われているか、それは「非認知能力」を身につけていたほうが将来幸せを感じ、経済的にも余裕ある生活ができる割合が多いという統計がでたからだそうです。

 そう聞くと親である私たちは答えが見えないだけに「その力を身につけさせなくては」と考えがちですが、それは日常での生活で我が子を見ることから始まるように思います。子どもが今何に興味や関心がありどうしたいか。それを無視して、他の子がやっているからとか何歳だからこれをさせなくてはなどといった焦りは逆効果です。その子が何かに没頭していることを大切にし、その力が伸ばせる環境をつくるというフオローが大人の役割なのだと思います。

 学習もがんじがらめの生活を強いるのではなく勉強しやすい心と身体の状態を整えることが必要ではないでしょうか?嫌いなこと、嫌な環境を人間は好みませんし、長続きしません。関心がむけば必死になるはずで、私の教室の子ども達、生徒達は授業中熱心に取り組んでいます。五感に響くこと、それも見えない感覚ですが非常に大切と思い、自習室を白に統一し、休むスペースを作り、また冷蔵庫から好きなお菓子や飲み物を出して一息つくことも良しとする環境にしています。

 『非認知能力」もそうですが、私は勉強会、研修会などに出たり、いろいろな方とお話ししたりする機会を持つ度に、この世の中には「答えの無いことがどれだけあるか」を感じます。学びたい、知りたいと思っているのにかえってわからないことがたくさんあることがわかります。
「幸せと感じ、経済的に余裕がある生活」というのもその人自身が決めることで、はっきりした答えはありません。この「答えの無い世界」で私たちはどう生きるか、それはそれぞれが持つ軸、それは価値観だと思いますが、それを何にするかに関わってくるように思います。そこに優劣はなく皆尊重しあうべきです。

 絵画講習をこの夏開催しました。暑い中トンボを捕り、それを見ながら描きました。どの子達も集中して個性豊かな作品を仕上げました。絵を描くこともまた答えの無い世界です。でも答えが出ないとわかっていても子ども達は頑張れました。それは安心して描ける状況と周囲で声をかけてくれる友達、講師がいるからです。そして何より描いた絵をおうちのお母さん、お父さんに見せたい、「いい絵が描けたね」と褒めてもらいたい、その気持ちがあるからです。その子の周囲にある多くの愛情が、「答えの無い世界」でも生きる安心と生きるエネルギーになるように思います。
 (子どものためにしたトンボ捕りですが網を振り回して熱くなっている自分に我に返りおかしくなってしまいました。)

藤井 道子