花みち元気塾通信2022年4月「それぞれの人のそれぞれの物語」

花みち元気塾通信

 3月31日、年度末の休みの日、ちょうど京都の桜が満開となりました。「やった」と思いながら念願の醍醐寺に向かいました。五重の塔の周囲の桜は植樹したのではなく、もともとあった桜とのことで、その景色を目にした時、一瞬息を飲む感じがしました。

満開の桜を下から見ると世界がここだけのようなゾクゾクした気持ちになるのは私だけでしょうか。

日本人には桜にまつわるそれぞれの思いがあるような気がします。亡くなった母に姉が桜の本をプレゼントした時、涙を流して感激していたのもその一つです。

この春はまた一つ節目の季節でした。私の子が国家試験に合格して医師になりました。私は幼い頃から物音が聞こえると父が怒っているのかと耳を澄ますほど父を恐れて育ちました。その父は兄に国立大の医学部に進むことを強いて育てました。私自身はその影で自由に遊びながら、兄の進路を第一に考えて育ちました。色々ありながら兄は国立大の医学部から医師にはなりましたが、父との確執もあったからか、父も母も兄も早くに亡くなってしまいました。残された私は自分の使命は自分の子を医師にさせることと感じるようになり、私は全勢力をそこにかけました。息子が医学部に合格してからは本当の自分を生きているような自由を感じ、今までのそのエネルギーを仕事に向けています。が、どんなに頑張っても今まで子どもにかけてきたエネルギーより大きくなることはない気がします。

良いことも悪いこともその経験が今に活かされていることは事実です。私も言葉にはできないこともありますが、来てくれている生徒の微妙な表情や言葉から感じる感覚を身につけることができました。「前を見ていても後ろがわかる。」と生徒達に話すと、「えー?」と驚かれますが、そんな感じです。

人が生きてきた歴史はそれぞれ違うはずです。誰にでも桜の思い出があるのと同じように、その人にしかない物語があることでしょう。

今年は桜が散り始めた頃、新学期が始まりました。またそれぞれの新たな物語のスタートです。子ども達の進む道が少しでも明るいものでありますように。

今年度もどうぞよろしくお願いいたします。