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花みち元気塾通信 2021年5月号「色とりどりの緑の中で」

 新緑の季節、緑がきれいな時期です。
緑と言っても、黄緑色の淡い色、濃い深い緑、赤みがかった緑などさまざまです。
そのような風景を見ながらふと思うことがありました。「緑がきれいだ」と伝えても、それを聞いた相手はどのような緑を思い浮かべるかは自由なので、
もしかするとお互いのイメージは全く違うものになっている可能性があるということです。

 そうした違いはあらゆるところで起きる可能性があります。
コミュニケーションがうまくいかないのも、
そうした少しのとり違いが次第に積み重なって
大きな誤差となっていくからかもしれません。
 そのようなことが起きないためには、
うまく自分の思いを伝えられるようになることが必要です。


 それは相手を否定するのではなく、
相手の話での疑問は質問して理解することに努めつつ、
自分の意見も少しでも理解してもらえるように努力することなのではないかと思います。
 親子でもわかっているだろうと成長とともに細かい話をしなくなりがちですが、
常にコミュニーケーションすることを心がけていきたいものです。


 話す相手が子どもだと、
「〇〇なの?」「本当は〇〇なんでしょう?」と質問してしまいがちですが、
私は子ども自身の言葉を聞く側になりたいと思います。
 これは簡単そうに思えて、難しいものです。
私たち大人は子どもと話す時、自然と会話を誘導しがちですし、子どももそうされるのを待っている場合もあります。


 授業をしている時、皆が考えてそれぞれに意見を言っている状況になることがあります。
一見すると賑やかで落ち着いていないように見えますが、
私は一人ひとりの頭が動いている感じがして静かにさせる気になりません。
この状態がスタートで次第に自分の頭で処理できるようになっていくイメージがあります。
つまりこの状況は心の中をさらけ出すという状況に近く、
それはわからないことをわからないと言える、
考えたことを言葉にできる、
言葉を文章に組み立てていける
そうした段階を経る第一歩だと思います。


とは言いつつ私も、挨拶を子どもにさせたいと思った時
「こんにちはは?」と促すのではなく、
「挨拶は?」と聞いた方が良いとわかっているのに、
「こんにちはは?」と言ってしまう自分に気がついてハッとしたことがあります。
子どものことを考えた言葉がけではなく、
自分の評価を気にしての言葉だったと感じます。


 子どもを自分とは違う一人の人間として見ていけるようになるためには、
こうした日常の一言から大切にしていくべきなのではないかと、
そして子どもの成長を焦らず長い目で見守る姿勢も必要なのではないかと、
一斉に吹き出した木々の緑を見ながら考えました。