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花みち元気塾通信 2019年7月号「人生の彩りを添えるために」

 私たちは、表現することに力を入れています。そのために大切なことは、文章を書くことです。
日記は自分の行動や心の記録として大切です。

作文は日記とまた違って大切です。
子ども達に日記と作文の違いを話すと、その後から作文の文章がぐっと良くなることがあります。日記は他の人が読むことはほぼないけれど、作文は他の人に読みたいと思ってもらうことで輝きをますものです。ですから、事実だけ、楽しかったなど一言だけの感想では味気ないのです。ではどうするか?

 作文を書こうと言うと、子ども達は「どこにも行ってなーい。」「書くことなんてなーい。」などの言葉が出てきがちですが、書くことは日常にありふれています。私は目に映るものを何でも即興で作文にして子ども達に読みますが、皆とても興味をもって聞いてくれます。

「ここにレモンがあるから、作文にするね。」
「目の前に、まだ青いレモンがあります。きれいな色で、さわるとつるつるしています。指でつぶしてみたら、中からじゅわーっと果汁があふれてきました。その瞬間周りはレモンの酸っぱいにおいに満たされました。思わず「すっぱ」と言う言葉が出てしまいました。レモンジュースにして飲んだらおいしいかな?」

 細かい説明は要りません。
原稿用紙を配ったとたん、子ども達は書き始めます。
心に浮かんだまま五感をフルに使って言葉にするのです。五感を使うことは、感性を磨くことにもなります。感性を磨くことは、日々の生活に彩りを添えます。
私が印象に残っている作文があります。
高校入試で出された問題で「あなたが好きな風景とその理由について書きなさい」というものがあり、当時いた中学生に書いてもらいました。ある子の書いた文は「自分はサッカーの部活が終わった後、寝転んで空を見た時の風景が好きです。練習が終わってホッとした気持ちとやり切った満足感を持って見る空は、普段見ている空より、青い色がきれいに見えるからです。」といった内容でした。読む人の共感をよび、頑張った様子を想像させるものです。

 空を見上げた時、同じ空でも自分の心によって見える風景が変わる、人生もその時の心によって見えている風景は変わります。どんな時も感性に従い、心の中を自分の言葉で表すことは人生をより深く、広く味わう一歩になっていくでしょう。

敏感に感じる心になるために、普段から作文を書いていきたい。目には見えないけれど、人に与える強い感覚を作り出して行ける、それはまた幸せを感じる心にも響いていくに違いないのです。私はそう信じて子ども達と共に作文に取り組んでいます。

この夏も作文講習を開催します。是非、ご参加ください。

藤井道子