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花みち元気塾通信 2017年11月号 「忘れられない思い出」

 受験生が入試を意識始めるこの時期になると必ず思い出すことがあります。説明会でもお話ししていますし、西郡代表が私のことを説明するときも必ずこの話をします。今年も例年同様思いました。
大分前になりますが、ある時Aちゃんはお母さんと一緒に教室に現れました。元気に笑顔で「こんにちは」と言ってくれました。Aちゃんはダウン症です。明るく、アイドルが大好きな女の子でした。中学校を卒業した後、進路について可能性を広げるために、学習を見て欲しいというのがお母様の希望でした。私達は障がいある子の専門家ではないということで、どうするか当時のスタッフ達と協議しました。ちょうど福祉を専攻している学生講師もいて、全員が「見てあげたい。」という気持ちになり、引き受けることとなりました。
皆でテキストについても考え、福祉専攻の講師に担当してもらいながら、音読、計算を中心に行っていきました。時々大きな声で話したり笑ったりして、他の生徒から「うるせーよ」と言われましたが、そういった時も決して怒ったり嫌な顔をしたりしないで、人差し指を立てて「シーだね。」と肩をあげていました。Aちゃんは、たどたどしい音読でした。計算もたし算、ひき算、かけ算までは何とか自力でできましたが、わり算となると難しいようでした。どうしたら良いかいろいろ考えました。しかしよく考えてみると私達が生活していく上で、たし算、ひき算ができれば買い物はできるし、かけ算ができれば大きな数を数えることもできる、わり算はそれほど生活に密着していない気がします。それならまずは大人になって必要なことから学ぶことにしようということになりました。そのために買い物に出たり、散歩したり生活しながらできる学習を織り交ぜながら進めていきました。そのうち、音読は大分スムーズになり、買い物の時のおつりの計算もできるようになっていったのです。11月の時期には、作文も自分の思いを入れながら原稿用紙1枚近く書けるようになり、面接の練習では質問に応じての答えをとても上手に答えられるようになりました。そのがんばりの成果がでて、Aちゃんは早いうちに推薦で高校入学を決めました。Aちゃんはもちろん、お母様も講師も皆で喜びました。



​そして私がもうひとつ感動したこと。それは他にいた一時はうるさいと言っていた生徒たちの反応でした。「Aちゃんはがんばって高校決まった。」と私が話したところ、その生徒の中には県内のトップ校を目指す生徒もいましたが、その生徒達が、「あいつがんばったじゃない。おれたちも負けずにがんばろうぜ。」と声を掛け合ってまた勉強を始めたのです。こういった様子を見ながら、私は障がいが有る無しに関わらず、人は頑張っている姿に影響を受け、その影響は自分自身の力を強くしていくのに働くと実感しました。Aちゃんをはじめ生徒から学ばせてもらったことでこの経験は忘れられない思い出です。高校進学後、Aちゃんは顔を見せに来てくれました。高校生の制服を来て髪もきれいに結んだ姿に「こんなに立派に高校生になるんだ」、と驚きました。

教室では毎年いろいろなことが起こります。でも開講した当時から、そして今も変わらないこと、それはこの教室に来ている生徒はどこの塾にも負けない「心が素晴らしい子」たちだということです。成績の善し悪しで人を判断しない、困っている生徒がいると自分を差し置いてでも助けてあげる。たとえテストでちょっとミスしてしまっても、ちょっと雑にノートを書いてしまってもそれはきっと直していけること。心の優しさは生涯人を惹きつけるに違いないのです。「皆その良さに自信を持って!」私はそう思わずにはいられなくなるのです。



来年度から「西郡学習道場つくば校」から花みち元気塾 「中学生夢コース」に名前を変更します。それに加え「小学生個別虹コース」を計画中です。実績にとらわれること無く、一人一人を手厚く見るスタイルをより強化していく方針です。
11月29日には中学生の説明会を開催します。参加されなかった方ももしご興味がありましたらご連絡ください。よろしくお願い致します。

花みち元気塾 藤井道子