私が小学校5年生の頃です。近所に住むアメリカ人のマリア先生からネイティブの発音を基礎からしっかり学ぶ機会に恵まれました。日本語にはない音を自分の口を使って出せるって、なんて面白いんだろう!と毎週その日が来るのを心待ちにしていました。(のちにそれは英・米国では母国語の発音をこどもが学ぶフォニックスという発音練習だと知りました)
クリスマスが近いある日、マリア先生は自宅のオーブンで「焼きりんごを作ります。」と言って目の前で作り始めました。「りんごを焼く?」それまでりんごは皮を剥いて生のまま食べるもの、と思っていたので「焼いて食べるの?」と本当に驚いたのを覚えています。皮はつけたまま、丸ごと芯だけくり抜き、そこに砂糖とバター、シナモンを入れてオーブンで焼きます。しばらくするとあたりに甘くて美味しそうな、いいにおいが漂ってきました。どんなものができるんだろうとわくわくしながら待ちました。その時の強烈な体験が世界の国々と文化と歴史に興味を持つきっかけとなりました。
マリア先生はその後1年ほどで帰国してしまいましたが、私は英語が大好きになり、自分から楽しく勉強するようになりました。大人になってからはイギリス、カナダ、アメリカでホームステイをし、現地の語学学校に通いました。そのたびにそれぞれの国の人々の生活を通して文化、習慣の違い、そして考え方に触れ、旅行だけでは味わえない深い経験ができ、それが今の私を作っていると感じています。
英語を単に言語として勉強し、覚えるものと思ったらもったいない!英語を学ぶことは世界を知ること、わくわくする体験ができるもの、そして視野を広げて考える機会になるもの。私が肌で感じたことを生徒たちにたっぷり伝えていきたい、そして英語って面白い!と感じてもらいたい、そう心から願っていつも授業に取り組んでいます。
英語講師 原 美舟