私が花みちで講師をさせてもらうご縁をいただいたのは、花まるの教室で講師を始めたときに教室長である藤井先生に出会ったのが始まりです。
私は大学卒業以来、道場で地域の子ども達に武道を教えてきましたが、子ども達に勉強を教えることは初めての経験でした。始める前は不安も当然ありましたが、すぐに、教室で元気いっぱい笑顔で学習に取り組む子ども達と会うことが楽しみでたまらなくなっていきました。子ども達のすぐそばで成長を応援できる仕事にとても魅力を感じ、今でもその気持ちは変わりありません。
その教室での忘れられない経験の1つをお伝えしたいと思います。どちらかといえば大人しめで、教室でも自ら進んで手を挙げたり発言をすることは無かった1年生のHくんのことです。ある日の授業の最後に、藤井先生が「紙飛行機を作ろう!」とみんなに呼びかけました。子ども達はそれぞれ思い思いに紙を折って、紙飛行機を飛ばします。Hくんは紙飛行機を折るのも飛ばすのも初めてなので、最初は見よう見まねで教えてもらいながら紙を折ります。折るとすぐ飛ばします。初めは全く飛びません。それでも諦めず夢中になって、何度も何度も紙飛行機を折っては飛ばします。次第に折り方や飛ばし方を自分で工夫するようになり、少しずつ飛ぶ距離が伸びて来ました。
最後にみんなで競争したところ、なんとHくんの紙飛行機が羽を広げた鳥のようにぐんぐん飛び、みんなが目を丸くするくらい一番遠くに飛びました。そのときのHくんのガッツポーズと目の輝きと笑顔はとても眩しいものでした。その翌週の授業でさらに驚くことが起こりました。教室長の藤井先生の「これ、分かる人?」の問いかけに、「はい!」と元気よく堂々と手を挙げるHくんがいたのです。Hくんが変わるきっかけは紙飛行機だったのです。
私が勉強でも武道でも日々子ども達と接する中で実感しているのは、子ども達は本当に小さなきっかけで大人が驚くほど変わりぐんと成長するということです。どの子もその子の持っている魅力や個性、伸びる芽である強みがあると思います。その強みを認めて伸ばしていけたら、その子自身は生きていくうえで揺るがない芯ができ、たくましく幸せに生きていけるのではないかと。好きなものに出会い夢中になると何度も何度も諦めずに挑戦し、その中で試行錯誤して本当にたくさんのことを学び、小さな成功体験を重ね自信に繋げていきます。そのためには、どんなに失敗しても大丈夫という安心できる環境が必要だと思います。これからも私はそういう存在で子ども達を見守り応援し続けていきたいと思っています。
花みち講師 横山典子